ビデオグラファー/ドローン操縦士/ from 山形

【取材レポート】鶴岡在来野菜「田川かぶ」伝統の焼き畑

9月の初旬に鶴岡市の田川地区の田川かぶ生産者さんのところへ、田川かぶの焼き畑を取材に行ってきました。

案内してくれたのは田川地区で自然薯や田川かぶを栽培する真田治雄さんです。

真田さんは元マタギでこの辺の山を知り尽くした男!

自然をこよなく愛し、今も学び続けていてまさに知識の宝庫のような人です。

春には山菜採りも取材させて頂きました。

その時の動画はこちらです⇒【鶴岡・田川】春の山歩き~山菜・生き物~

今回は地元の在来かぶの伝統的な焼き畑についての取材!

真田さんから「山焼ぐさげ来っが~?(山焼くけど来る?)田川かぶ蒔くんだ。(田川かぶの種を蒔くよ。)」

なかなか取材させて頂く機会のない事ですし、2つ返事で現場に急行!

焼き畑、現場へ急行!

真田さんの軽トラックに相乗りしてずんずん山の中へ。

山畑の中に一画だけ草が刈られ茶色く変色した草が敷き詰められた場所。

そこが今回焼き畑をする場所です。

焼き畑をする場所は3か所ぐらいあって、毎年違う場所で栽培するのだそうです。

かぶはアブラナ科のため連作障害が出やすいからです。

前はもっと広い範囲で栽培していたそうですが、高齢のため今はこじんまりやっているとのことでした。

枯草に火をつけて燃やし始めましたが、前日の雨のせいで枯草が湿っていてなかなか火が着きません。

火が着くまでの間、真田さんにいろいろ質問し田川かぶについて教えて頂きました。

生産農家さんに聞く!田川かぶ・伝統の焼き畑

福ちゃん:田川かぶって何で野焼きをするですか?

真田さん:1つはの土壌の殺菌。熱で土の中の雑菌を殺す。病気付かないから農薬で予防したりさねたっていいんだ。もう一つは燃やした灰がの、いい肥料さなるんだ化学肥料なんかいらねんだ。使う人もいるども、これはオレのこだわり。

福ちゃん:庄内には温海かぶ・田川かぶ・藤沢かぶなどいろんなかぶがあるよね?それぞれ特徴が違う?

真田さん:違う!違う!まず庄内はかぶら5つの地域で作ってるはずだ。温海かぶ・田川かぶ・藤沢かぶ・宝谷かぶ・升田かぶって。

福ちゃん:庄内はかぶ盛んなんだね?

真田さん:盛んって言えばいいのか・・・昔からの・・・伝統。今は伝統なんてやってもお金にならない。みんなだんだい高齢化して後継者もいねば困ったもんだ。

福ちゃん:若い人もなかなか食べる機会もないし、食べ方わがんねもの。田川かぶの特徴は?

真田さん:カリっとした歯ごたえあんなや。これは(庄内のかぶでも)田川かぶだけ。他どごのはしっととしてやっこいろ(しっとりやわらか)この歯ごたえはアルケッチャーノの奥田シェフも大変素晴らしいと大絶賛したんだ。

福ちゃん:確かに!去年頂いた田川かぶ、カリカリッとしてやみつきだった。

真田さん:救済作物ってわかるか?

福ちゃん:救済作物?

真田さん:主食である米が不作のときに、秋収穫足らわねば、そんなの足らわね分なんぼでも、そんなの救済作物なってんだ。田川かぶは栽培期間が短かいろ?8月の末から9月の初め頃種まいて10月・11月なるど収穫できるがら。

福ちゃん:すぐ収穫できてお金に換えられるならいいの。手間もかからないし、焼き畑なら資材代(肥料・農薬)もかからない。

真田さん:昔からの焼き畑・・・本来なら、林業の人たちが伐採して木を持って行くろ?枝だけ山さ残してくんだ。すっど農家の人たちが山の地主から土地借りで、その枝を燃やして、その灰を肥料にしてカブラ蒔いだの。次の年農家はタダで土地借りたから御礼しないど。そこさ苗木を植林してくれる。そうやって結の精神で地域が成り立っていたんだけども・・・。

福ちゃん:昔はそうやって自然も地域も上手く循環してたんだね。

貴重なお話は沢山聞けたのだけど、肝心の焼き畑は火が着かず午前の部終了!

また午後来ることに。

お昼は真田さんの奥さんの手料理を一緒に頂きました。

山のごちぞう盛りだくさん!ごちそうさまでした。

 

田川かぶの種を見せて頂きました。

田川かぶの種

昼食後、山へ行く前に田川かぶの種を見せてくれました。

すごく細かいゴマ粒より少し小さいサイズの種。

油断すると手の隙間や、うっかり空いた入れ物の穴からこぼれていつの間にか減っているのだそうです(笑)

在来作物ですので種の採取はどうしているんでしょう。

種についても詳しく聞いてみました。

福ちゃん:種は毎年採ってるんでしょ?

真田さん:うん。種採り用は秋収穫さねで、それの種こぼれたところから、来年の春芽出はってきて花咲く。菜の花と同じや。

福ちゃん:その花から種採るの?

真田さん:んだんだ。

真田さんのように焼き畑はできませんが、田川かぶの種を頂きました。

うちの畑で大切に育てようと思います。

午後山に戻って引き続き山焼きをしたんですが、結局火は着かず今回は断念。

真田さん沢山教えて頂いてありがとうございました。

また取材に来ます。

真田さんの自然に対する愛や農業に対するこだわりが詰まった動画となっております。

山形の在来作物をもっと知りたい人のためのおすすめ本

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福ちゃんビデオグラファー・ドローンパイロット
山形県庄内地方を拠点にフリーランスで『映像制作』『ドローン事業』『情報発信の支援事業』の活動をしている福井理紗です。 またYouTubeにて、美しい自然や伝統文化を映像作品として公開しています。