6月25日に鶴岡市の関川しな織センターとしなのコスメブランド「UMU」が主催する、しなの皮剥ぎ体験に行ってきました!
しなの皮を剥ぐ作業はしな織の作業の中で一番最初に行われる作業です。
関川の伝統工芸「しな織」
「古代布」とも呼ばれるしな織
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温海地域を代表する伝統工芸品です。
しなの木〈オオバボダイジュ〉の木の皮の繊維を採り糸にして織る布。
「しな布(しなふ)」は日本最古の織物の一つであり、「原始布」「古代布」とも呼ばれ、およそ1500年以上前(古すぎてもう追えない。もっと古い可能性がある)のものが現存しているそうです。
そしてその製法も古代からさほど変わっておらず、昔ながらの手仕事で作られています。
かつて日本各地で織られていたしな織も、今では山形と新潟の3つの村(関川・雷・山熊田)でしか作られていません。
関川の人の暮らしにとってのしな織
動画を投稿後、幼少期を関川で過ごしたという若者からステキなDMが届きましたので少し紹介します。
「子供の頃から実生活の中にしな織がありました。お餅を作るときの米を蒸すときに使う布だったり、川で魚を取ったときに魚を入れる袋だったり・・・。使い込むととても柔らかくなり、いつまでも木の香りが残ります。だからこそ、大切に沢山使ってもらいたい。」
地域の人に愛されているからこそ、古代からずっと引き継がれてきたのだろうと思います。
しな織ができるまで
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途方もなく時間がかかる細やかな手仕事で作ります。(以下ざっくり省略箇所あり)
①木を切り樹皮をを剥ぎ、さらに表皮を剥ぐ。
➁日光に十分に当てて乾燥する。
③水に漬ける。
④ドラム缶の大きさに合わせて巻く。
⑤ドラム缶で、木灰で煮る。
⑥へぐれたてる(1枚1枚層ごとにはがす)
⑦こく。(繊維だけが残るように、川の水の中でしごくように洗う)
⑧粉ぬかと水で二昼夜漬けて独特の色を出す。
⑨川で洗って粉ぬかをよく落として干す。
⑩細く裂く。
⑪績む〈うむ〉(しな績みと呼ばれる独特の方法で糸をつなぐ)
⑫糸車でよりをかけ、枠に移す。
⑬織機に経糸・緯糸を準備して織る。
しなの木の皮剥ぎ体験記
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当日、関川しな織センターに集合。
するとまずは熊よけの鈴が付いたベルトを支給されました。
長靴に履き替えて現地送迎の車に乗り込みます。
関川の村中を走り、形が不規則な田んぼや段々畑の中を通りぬけ、山に入っていきます。
道が細く、車に木々の葉っぱが当たりサンルーフからの開放的な景色が心地よかった!
しなの木の皮剥ぎは梅雨の時期に行われます!
しなの木は何種類かあるようですが、今回伐採したのはオオバボダイジュという事です。
(ブッタが悟りを開いた菩提樹とは違う種類の木の種類だそうです)
指導員のお父さんたちがチェーンソーで伐採にしてくれます。
伐採したオオバボダイジュから鉈で枝を払っていきます。
鉈を振るうお父さんたちカッコイイ!
そして、ここからが私たちの出番!
サクナデ〈切れ目入れる〉
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サクナデとは、木の縦方向に切れ目を入れる作業。
長い繊維を取るために、枝払いをした節のところからサクナデを入れていきます。
枝払いをした節のところから、バールを使って切れ目の始点を作っていきます。
そして一氣にこそこら、バリバリッと切れ目を入れて行きます。
梅雨の雨をよく吸ったしなの木は、切れ目から甘い露が出てきます。
カワハギ
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サクナデを入れたら皮を剥いでいきます。
切れ目に沿って皮を外側に引っ張り剥いでいきます。
水分で気持ちよくするっと剥けます!
木殺し
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木殺しは表皮と内皮を剥がれやすくするために伸す作業です。
表側を内側にして皮を折り曲げて、押すように伸していきます。
すると硬かった皮が柔らかくなります!
外側の皮を剥ぐ
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表皮を折って切れ目を入れて、そこから表皮を剥いで内側の皮を採取します。
想像できますか?この内側の皮がしな織の糸になるのです。
足で踏んで抑えながら、引っ張りながら剥いでいきます。
なるべくロスがないように剥いでいくのがすごく難しいのだ!
剥いだ皮は丸めて束ねてトラックに積みます。
採取した皮の乾燥
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しな織センターに戻り、駐車場にてトラックから剥いだ皮を降ろします。
そしてそのまま駐車場の地面に広げて乾燥します。
今回の体験はここまで。
〈番外編〉しなの花摘み
![しなの花](https://loki-creative.com/wp-content/uploads/2023/09/sekikawa-kawahagi10-300x300.jpg)
ちょうど伐採の時期にはしなの花が咲きます。
関川ではしな織だけでなく、しなの花を使った100%天然成分の無添加コスメも作っています。
皮剥ぎ体験にともなって、関川の無添加コスメブランド〝umu project 〟の原料採取も体験させて頂きました!
伐採した木から花を摘み取っていきます。
しなの花はとても甘い匂いがします。
それもそのはず!
ミツバチが好んで蜜を採取する花で、養蜂にも向いている花なのです。
無添加コスメブランド〝umu project 〟に興味がある方は公式ページを見てみて下さい。
取扱店やオンラインストアから購入もできます。
またこのしなの花は乾燥させて、そのままお湯を注げばしなの花茶としても楽しめます!
しなの皮剥ぎ体験の後はランチ
しなの皮剥ぎ体験の後は、みんなで関川ランチ。
近くの古民家カフェけーらぎにて、美味しくて優しい時間を過ごさせて頂きました。
関川の郷土料理「べろべろもち汁」、紫蘇の天ぷら、ゼンマイのけんちん、ミズのお浸し、しそ巻き、笹巻、メロン子漬けなど15品以上の小鉢のプレートがテーブルに並びました。
古民家ギャラリー&カフェ けーらぎ
関川や周辺で採れた季節の野菜や山菜を使った体に優しいランチが楽しめます。
また地元の画家や写真家、伝統工芸品の作品を展示しています。
しなの皮剥ぎ体験を開催してくれた関川しな織センター
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関川しな織センターは関川地区の「しな織」と伝統的工芸品「羽越しな布」の拠点施設です。
展示・販売スペースのほか、織り作業や加工・製作を間近に見学できます。
また予約をすれば、しなのコースター織り体験もできます。